2010年12月26日日曜日

父とアメリカ


只今 ボストンの時間は12月26日 日曜日、午前3時27分。
日本なら夕方5時半ちかく。きっと父はもう骨になったことでしょう。
父の煙は煙突をぬけたらどちらにむかっただろう。
私は確信をもっている。
そう、煙は空高くのぼって、今 太平洋を越えているところ。
アメリカに行くんだ! 信子のところに行くんだ!って嬉しそうに向かって来てくれている。そうでしょう?
お父さんはどこに最初に行くの?サンフランシスコ?ロサンゼルス?
山を越えて,そしたらどんな景色がみえるのかなあ。ボストンへ来るまでにいろいろ景色がかわるね。そんなことを考えていたら,私の気持ちが少し楽になる。
私が今,ここボストンにいて父を迎えることに意味があると思うからね。

1950年代、20代だった父にアメリカ留学の機会が訪れた。
憧れだった野口英世のような道がひらける。
両親も喜んでくれると確信して、大喜びで準備をしている父のもとに、田舎から祖母がやってきた。
そんなところに行かないでくれ、みんな泣いている。そんな恐ろしいところに行かないでくれと、泣きながら哀願されたそうである。
今なら笑い話のよう。でも、まだそんな時代だったのか。
喜びの糸がプツッと切れたような気分だった父は失意のうちに その機会を手放し、そして家庭をもち、父親になっていった。
高度経済成長の波にも乗り、小さな町で一生懸命に働き私達をそだて、海外旅行が当たり前の時代になっても、忙しく働き続けた。

私が育った町は海が近い。釣りが好きだった父、車の運転が好きだった父に連れられて、私はよく海を見に行った。
この海の向こうにはアメリカがあるんだよ。アメリカに続いているんだよ。
お父さんはアメリカに行ってみたかった。船に乗って、アメリカの地を踏んで、ションベンして帰って来てもいい。そう思ってたよ.でも、おばあちゃんを泣かせては行けなかった。

私はそう聞かされて育った。恥ずかしがりやで、気が弱いところもあった父。
おばあちゃんを理由にして、やっぱり怖かったのかなあ...そんなことを思う時もあったけど、そこは娘の欲目。どこかでお話のつじつまを合わせてる(笑)
そして夫と出会い海外に目を向ける暮らしになった私は、2000年の春、退路を断ってアメリカに新天地を求めた夫とともに、この地に暮らす。

出発前のある夜、枕元で「ごめんね」と泣く私に、父はまだ自由がきいた左手で一生懸命 私の頭をなでてくれた。
それなのに、車いすで成田空港まできてくれて私が飛行機に乗る時は、父の手を握ろうとする私の手をピシャッと叩いて「早く行け!」とジェスチャーする。ちょっと寂しい思いで振り返ると、出発前にもう一度父と握手しようとした夫の手を握りしめて、不自由になった右手を一生懸命胸まであげて夫を拝んでいた。言葉もでないのに、泣きながら夫に頭を下げている.

あの別れがあったから、私の気持ちは揺らがない。
どんなにちいさな努力も積み重ねて、私はこの国で一生懸命 自分らしく生きようと思う。
時代は変わってもアメリカのもつ魅力はかわらない。
あの時代、若かった父にうつったアメリカはどれほど魅力的だったことだろう。

お父さん、今日はNutcracker のバレエに行こうね。基二郎さんがクリスマスプレゼントにくれたのよ。お父さんは働いてばかりで、こんな華やかな舞台にいく事もなかったね。 私と一緒にみようね。

早くおいで、風にのって海をわたって。でも、見たいところがいっぱいだね お父さん。お父さん、あの町で働き通しだったものね。
でもこれからは私と一緒に、憧れた国、アメリカに暮らそうね.アメリカという国に泣いたり,怒ったり感謝したり。信子の暮らしもいろいろあるのよ。
これからはそばにいて、ずっと見守っていてね。約束だよ、お父さん。

2010年12月6日月曜日

Jewelry Show のお知らせ♬



 お友達のジュエリー作家、スーターひろみさんが、Jewelry Show を開きます。


 ひろみさんは、今年の
Art Jewelry Magazine の11月号の表紙を飾った素敵な作家です。

 ひろみさんのことはこちらに。。。


 Show の日程は December11 from 03:30 to 7:00 PM
会場はひろみさんのご自宅です。

 場所は直接 info@hiromisuter.comまでお問い合わせください。

 素敵なハンドメイドジュエリーがいっぱい。是非お出かけください。